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2017年5月17日(水)
友人の勤務する職場に、文句を言いたくなった。
いや、いちいちそんな事で腹立ててたらキリないぞ、ってレベルの話なんだけどね。
裏を返せば、それだけ多くの苦情が同様の件で出てると云う事で、ひとつ。
『有給休暇』って、年間何日と云う制限付きで被雇用者に与えられている、減給無しで休暇を取れる権利の事だよね。
常識的には、それを行使するには色々と段取りを踏んで、雇用主の認可を取り付ける必要があるんだけど、余程の事情が無い限りはその要求が拒否される事は有り得ない。
また、労基法でも『法律上当然に労働者に生ずる権利であり、労働者の請求を待って初めて生ずるものではない。使用者の許可や承認は不要であり、そのような観念を容れる余地そのものがない』と定義されており、目に余るほどの勤務態度不良でも起こさぬ限り、雇用者側がその権利行使を拒否する事は出来ない筈である。
が、しかし。
友人は『職場に於ける人手不足解消』を理由に、既に確定されていた有給休暇の申請を白紙に戻された。
しかも、その『人手不足』は雇用主自身の人員配置管理に対する認識不足が招いたもので、友人には一切責任が無い。
雇用側としては、人件費を最低限に抑えたいという要望が先に立つ。この事情も分からなくはない。
しかし、そこをケチって、万が一出勤予定者が急病や事故で出勤不能になった場合、その埋め合わせを誰がするのか? という話になる。
人員・予算・納期など、ビジネスを完了させるまでに必要とされる人やモノの流れが、許容限界ギリギリのラインを通るケースを『クリティカルパス』と言う。
アクシデントの発生などで、已む無くその状況に陥る場合もあるが、管理者と云うのはそれを極力回避する為に存在する筈だ。
そして、意図してクリティカルパスを毎日通らせている労働環境で欠員が出てしまったら、ビジネスは破綻し、結局は大損害を出す羽目になる。
これが分からぬ無能者に、管理者たる資格は無い。
4週8休・24時間交代勤務が当たり前の医療・消防・警察などの機関に於いても、万が一欠員が出た場合の予備要員は確保しているものである。
その配置を怠り、大事故に繋がった場合、その責務は当然、その機関のトップが負う事になる。
が、トップが詰め腹を切るだけで事が済む、等と甘いものではない。
それによって被害を被った顧客や従業員、その関係者への賠償はどうなるのか。
それこそ、人件費をケチって雇用人数を最低限に抑えた分、浮く予算を遥かに凌ぐ額の損害が出る筈だ。
と、このように。通常勤務を遂行する場合に於いても、余裕を持たせた人員の確保は管理者として必要な『義務』である。
有給休暇を取り上げて出勤させるなど、もはや論外。
こうなる原因を作った者、或いは有休を撤回させた者は、休暇を取り消された者に土下座して詫びるべきである。
そのような、人間を人間として扱わないような不当労働を強いる企業を『ブラック』と世間では呼称しているが、今やその『ブラック』が社会のスタンダードになりつつあるような気がしてならない。
友人の勤務先も、その中の一つである事は確実だろう。
……こんな世の中を作ったのは、一体誰なんだ?
その答えは分かっちゃいるけど、口に出せば逆賊扱いになる。だから言及はしない。
しかし、許すべからざる人間は必ず居る。
ま、そいつを引っ張り出してボコったところで、世の中は何も変わらんがね。